特集記事−1 アムネスティ・インターナショナル日本「共謀罪」反対声明
特集記事−2 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)「国連調査委員会」設置
特集記事−3 取調べの可視化


   特集記事-1 アムネスティ・インターナショナル日本「共謀罪」反対声明


テロ対策の名の下、市民を抑圧する法案に反対する

アムネスティ・インターナショナル日本は、組織的犯罪処罰法等の一部を改正する法
律案は市民を抑圧するおそれがあるとの理由から、本法案の成立に強く反対する。

この法案は、いわゆる「共謀罪」法案として、犯罪の実行を準備した段階で処罰を可
能にするものである。国際組織犯罪防止条約(通称パレルモ条約)の批准にむけて国
内法を整備するために成立が必要と政府は主張している。しかし、多くの報道機関、
弁護士会、研究者や市民団体から、共謀の定義、犯罪集団の定義が曖昧であるため適
用範囲が拡大解釈されかねず、健全な市民活動が萎縮すると批判されている。

犯罪の成立には構成要件として実行行為が必要である。しかし、法案では、実行に着
手する前の準備行為を「実行準備行為」とし、犯罪の構成要件としている。「計画に
基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するため
の準備行為」(同法案6条の2第1項)と定め、単に私用である場所に訪れた場合や私物
の購入だけでも、準備行為とみなされるおそれがある。条文の定めだけでは何をもって
準備行為を特定するのか明確でなく、捜査機関が法を恣意的に運用すれば特定の市民を
狙い撃ちにすることが可能となる。

また、共謀の現場を偶然見つけることは不可能に近い。共謀の事実を把握するため、
日常的な監視行為が必要となるであろう。盗聴やインターネット経由による情報が集
約され、個人のプライバシーはなくなり、警察権力の拡大によって市民活動が委縮
し、市民の表現の自由が抑圧されるおそれがある。

さらに、組織的犯罪集団の特定が明確でなければ、個人の表現の自由だけでなく団体
の表現や結社の自由にも侵害が生じる危険性がある。そもそも、パレルモ条約は反社
会的組織の資金源を断つなど国際的に暗躍する組織犯罪の取り締まりが目的であって、
市民団体が対象となることは想定されていない。法案においても、団体として共同の
目的が犯罪の実行にあるものが想定されている(同法案6条の2第1項)。これまでの
政府の見解によれば、正当な目的で設立された団体であっても、共謀が行われた
時点で犯罪を実行する団体へと変容すれば該当するという。

確かに、法を犯す組織集団は取り締まり対象とすべきだ。しかし同法案のもとでは、
市民の人権のために政府を批判する人権活動家やそれを支援する団体も、政府の一方
的な判断によって組織的犯罪集団とみなされる懸念は拭えない。人権尊重のために立
ち上がる市民の活動や、それを支援する団体の活動は、たとえそれが政府への抗議行
動であっても表現の自由・結社の自由によって保障されなければならない。

政府に対し、声を上げることが許される社会が、表現の自由を守る健全な民主主義社会
の在り方である。パレルモ条約を批准するためという理由でこの「共謀罪」法案が
成立すれば、すでに批准している自由権規約第19条の表現の自由や第22条の結社の自由
を侵害することにつながると、アムネスティは強く懸念する。本法案が市民を抑圧
する道具とならないよう、成立に対し強く反対する。

2017年3月28日
      公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本


   特集記事-2 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)
                  「国連調査委員会」設置



TAKE ACTION

2013年3月号アムネスティ・ニュースレターで皆さまに手紙書きをお願いした、朝鮮民主主義
人民共和国(北朝鮮、DPRK)に対する「調査委員会(Commission of Inquiry)」設置
決議案が3月21日にスイス・ジュネーヴで開かれた第22回国連人権理事会において、無
投票で、コンセンサスで採択されました。この決議案は日本およびEUが共同提出してい
ました。
その後1年間かけて、専門家チームが同国の人権状況に関して調査を行い、国連に対して、
調査結果と共に、改善策を含めた勧告を提出しました。

この提案に関して、日本支部は早くから情報を入手し、日本における
ICNK(「北朝鮮」における人道に対する罪を止める国際NGO連合)のメンバーたちと日本
政府へのロビーイング活動を展開しました。また、国際事務局からの要請に応えて、
日本支部コリア・チームでは、アムネスティの国際ネットワークを通して、EU人権理事
国のアムネスティ支部やカナダ支部、オーストラリア支部等へ情報を提供し、協力関係
を構築し、「調査委員会」設置の実現にこぎつけました。

「調査委員会」設置は同国への大きな圧力となりました。国連や各国政府からの
働きかけは勿論重要です。しかし国外の一般の人びとからの働きかけで同国の真の人権状況
を国内の一般市民に伝えることはさらに同国の人権状況改善に大きな役割を果たします。

アムネスティ・インターナショナル日本コリア・チームでは、本年2016年9月、
強制収容所の閉鎖とそこに閉じ込められている「良心の囚人」およびその親族の釈放と
独立した人権調査団の入国を求める金正恩委員長へのハガキ・キャンペーンを再開しました。

 以下のサイトから金正恩委員長へのハガキをダウンロードできます。
http://www.amnesty.or.jp/get-involved/postcard/dprk_action.html


   特集記事-3  取調べの可視化 (全過程の録画)



現在、被疑者の取調べは「密室」で行われています

日本の刑事司法制度においては、捜査段階における被疑者の取調べは、 弁護士の立会いを排除し、外部からの連絡を遮断されたいわゆる「密室」 において行われています。このため、捜査官が供述者を威圧したり、 利益誘導したりといった違法・不当な取調べが行われることがあります。 その結果、供述者が意に反する供述を強いられたり、供述と食い違う調書が作成されたり 、その精神や健康を害されるといったことが少なくありません。

「裁判の長期化」や「冤罪」の原因となっています

そのうえ、公判において、供述者が「脅されて調書に署名させられた」、 「言ってもいないことを調書に書かれた」と主張しても、 取調べ状況を客観的に証明する手段に乏しいため、弁護人・検察官双方の主張が 不毛な水掛け論に終始することが多く、裁判の長期化や冤罪の深刻な原因となっています。 最近でも、厚労省元局長事件、足利事件、布川事件など、裁判が長期化した事例や 違法・不当な取調べによる冤罪事例が多く発生しています。

取調べの全過程を録画(可視化)すべきです

取調室の中で何が行われたのかについて、はっきりした分かりやすい証拠を 用意することはきわめて簡単です。取調べの最初から最後まで (取調べの全過程)を録画(可視化)しておけばよいのです。 そうすれば、被告人と捜査官の言い分が違っても、録画したもの を再生すれば容易に適正な判定を下すことができるでしょう。

裁判員制度成功のためにも取調べの可視化が必要です

裁判員制度が2009年5月から行われています。取調べの可視化 (取調べの全過程の録画)をしないまま、裁判員となった多くの市民が、 これまでと同様の不毛な水掛け論に延々と付き合うことは不可能です。 取調べの全過程の録画が認められれば、取調べの様子を事後に検証することが容易になり、 裁判員も判断しやすくなります。

欧米諸国だけでなく、韓国、香港、台湾などでも導入されています

今日、イギリスやアメリカのかなりの州のほか、オーストラリア、 韓国、香港、台湾などでも、取調べの録画や録音を義務付ける改革が既に行われています。 また、国連の国際人権(自由権)規約委員会は、日本における被疑者取調べ制度の 問題点を特に指摘して、被疑者への取調べが厳格に監視され、電気的手段により記録されるよう勧告しています。

私たちは取調べの可視化を提言しています

私たちは、いまこそ、取調べの可視化を実現して、 日本の刑事司法制度を文明国の名に恥じないものにすべきと考えます。 なお、以下に述べる検察庁や警察庁での一部録画の試行は、 日弁連が求めている取調べの可視化(取調べの全過程の録画)とは、 全く異なるものです。あくまで、全過程の録画が必要であり、重要なのです。

一部録画ではダメ?「全過程」の録画が必要です!

現在検察庁・警察庁が行っている一部録画は、取調官に都合のよい部分だけを 録画するものであり、自白強要を防ぐことはできません。 裁判官や裁判員の判断を誤らせるおそれがあり、かえって危険です。 取調べの可視化(取調べの全過程の録画)がぜひとも必要なのです
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